【初心者必見】デザインの基礎|誰でもプロ級に仕上がるコツ!

この記事でのデザインの定義

本記事で扱う「デザイン」は、ビジュアルやレイアウトだけでなく、情報を最適に整理し、ターゲットに価値を伝達するための包括的な設計プロセスを指します。
単純に「見た目」を作り上げるのではなく、「何を、どのように、なぜ伝えたいか」を根幹から考える行為と位置づけるのがポイントです。
アートは制作者自身の創造性や自己表現を軸にすることが多く、鑑賞者の解釈を受け止めながら、新たな価値観や感情を喚起する側面が強いといえます。
一方、デザインはターゲットとなる受け手の行動や理解を念頭に置き、目的達成や課題解決を優先的に考えるプロセスに重きを置きます。
たとえば、車の広告をつくる場合、芸術作品であれば造形美やコンセプトの抽象性が評価されるかもしれませんが、デザインとしては「この車がどんな人にどんなメリットをもたらすか」が端的に伝わることが最重要要件になってきます。
【Phase1】コンセプトを固める
1-1:誰に向けた何のデザインなのかを設定する。

まずはデザインの目的と、想定するターゲットを明確に定義するステップが肝心です。
たとえば、新製品のプロモーション用バナーをデザインするのであれば、そのバナーを最終的にどのような人が見るのかを具体的に思い描く必要があります。
経営戦略とリンクさせて、「どの市場を攻めたいか」「どんなユーザー属性に訴求したいか」などを整理すると、デザインの方向性がブレにくくなるでしょう。
1-2:自身のコンテンツの「強み」を理解する。

自社や自分自身のコンテンツが他社・他者と比べてどのポイントで優位性を持っているのかを再確認する作業も不可欠です。
いわゆるバリュープロポジションを明確にすることが、デザイン全体のコンセプトづくりに直結します。
たとえば、リーズナブルな価格帯が強みなのか、あるいはクオリティ面での差別化が売りなのかをはっきりさせておくことで、ビジュアルや配色、キャッチコピーに一貫性が生まれやすくなるでしょう。
1-3:ターゲットを具体化・理解する。

ターゲットのニーズやインサイトを把握するために、ペルソナ設計などを実施し、よりリアルなユーザー像を思い浮かべる作業が効果的です。
年齢・性別・職業・ライフスタイルなど、細かい属性からイメージを膨らませると、どんな文言やビジュアルが刺さりやすいかがクリアに見えてきます。


たとえば、「子育て中の30代女性で、忙しさゆえに時間短縮ツールを求めている」というペルソナが設定できれば、「時短」「手軽さ」「家事の合間でも扱いやすい」といったキーワードをデザイン上で強調しやすくなるでしょう。
1-4:どうすれば伝わりやすいか考える。

コンテンツの強みとターゲット像が定まったら、「どうすれば伝わりやすいか」を多角的に検討します。
ここではコミュニケーションデザインという視点も取り入れ、文字だけでなく写真・図解・アイコンなど、多様な要素を有効活用して情報を整理するのがおすすめです。
たとえば、機能説明だけでは伝わりづらい場合に、利用シーンをイラストやストーリー形式で盛り込むなど、受け手の理解をサポートする工夫が求められます。
【Phase2】デザインを制作する
2-1:視線誘導を意識して、配置を考える。
制作に入る段階では、視線誘導のプランニングが優れたデザインとそうでないデザインを分ける大きな要素になります。
人の視線は自然と左上から右下へ流れると言われますが、それを踏まえて情報の配置を考えると、ユーザーが知りたい情報にスムーズにたどり着けるレイアウトが可能です。
雑誌の見出しやWebページのファーストビューで、最もアピールしたい要素に視線が集まるようにデザインする手法を意識しながら進めると、コンバージョン率の向上につながるケースも珍しくありません。
「Z型・N型・F型」の視線誘導を活用する

視線誘導をさらに最適化するためには、人間が画面や紙面を見るときの視線の動き方(Z型・N型・F型)を理解しておくことが効果的です。
- Z型
大まかに左上から右上へ、斜めに左下へ流れて、最後に右下へ動くパターン。シンプルなランディングページや広告バナーなどで、1~2カ所の訴求ポイントを強調したいときに有効とされます。Zの最初と最後に主要な情報を配置すると、視線の入り口と出口で印象を深められます。 - N型
左上→右上→左下→右下という、アルファベットのNの形に近い軌跡を描くパターンです。Z型と比べて、中央部分に注意を引くポイントを設けやすいのが特徴で、複数の情報をバランスよく配置したい場合に活用されます。特に中央にキャンペーンやサービスの概要を置き、最後にコンバージョンボタンを配置すると、自然な動線が構築しやすいでしょう。 - F型
左上から順に、横→下→横→下…のように縦軸を基点に視線が移動するパターンです。テキストコンテンツが多いWebサイトやブログ記事でしばしば見られ、ユーザーが左端の見出しや重要情報を起点に情報を絞り込みながら読むときに顕著に表れます。重要なキーワードやボタンを左端に近い位置へ配置すると効果的です。
どの視線誘導パターンを採用するかは、デザインの目的やページのコンテンツ量、ユーザーの行動様式を考慮して判断する必要があります。テキストが多いならF型、シンプルに訴求ポイントを目立たせたいならZ型、といったように最適な視線誘導を選択すると、離脱率の低減や購買行動の促進に寄与します。
2-2:デザインの四大原則と、配置のルールを守る。

デザインの基礎概念としてよく挙げられる四大原則(近接・整列・反復・コントラスト)は、視覚的な統一感と見やすさを担保するために非常に重要です。
たとえば、テキストや要素のグルーピングには「近接」の考え方が活きますし、「整列」を意識することでレイアウトがスッキリまとまります。さらに、「反復」を使えば全ページや複数の広告バナーなどでブランドイメージに一貫性を持たせられ、「コントラスト」を取り入れると強調が必要な部分が際立って印象に残りやすくなるでしょう。
オブジェクトの配置ルールを統一する

デザインにおいては、要素(オブジェクト)の配置位置や間隔を統一するルールを定めておくことが、視覚的な整合性を高めるカギとなります。特に、以下のポイントを押さえておくとレイアウト全体がまとまりやすくなるでしょう。
- グリッドやガイドラインの活用
デザインツールのガイドライン機能やグリッドシステムを活用すると、要素の左右や上下の位置関係を一定の感覚で揃えやすくなります。整列の規則が明確だと、閲覧者はコンテンツをスムーズにスキャンできるため、理解度や興味関心の引き込みが向上しやすいです。 - 一貫したマージン・パディングの設定
ボックス内の余白(パディング)やボックス間の余白(マージン)を統一したサイズで定義する方法もよく用いられます。見出しと本文の間、本文同士の間、画像周りの余白など、どこでも同じルールを当てはめることで、読み手の混乱を防ぎ、洗練された印象を与えやすくなります。 - 「アイソレーション」を念頭に置く
アイソレーションとは、要素同士が重ならないように間隔を取る考え方です。各オブジェクトが独立して視認できるようになるため、コンテンツの役割や意味を適切に伝えやすくなります。特にコールトゥアクション(CTA)ボタンなど、ユーザーにアクションを促すパーツを周囲から切り離して配置する場合に重要です。 - 視覚のリズムをつくる
均等に間隔をとるだけでなく、部分的にあえて余白を広げることで、ビジュアル全体に抑揚をもたせるテクニックもあります。たとえば、見出しの周囲に余裕をもたせて存在感を高めたり、要素を連続して配置する部分は同じ距離を保つことでリズムを作ったりするなど、視線を誘導するうえでも有効です。
オブジェクトの配置ルールを統一しておくと、チームでデザインを共有するときや複数のクリエイターが同じプロジェクトに参加するときも、仕上がりのクオリティを一定に保ちやすいです。結果的にブランドイメージの向上にもつながるため、初期段階でルールを策定しておくことをおすすめします。
2-3:テキストボックスの使い方を理解する。

テキストボックスはデザインにおける情報伝達の要となるため、その配置やスタイルも戦略的に考える必要があります。
余白(ホワイトスペース)を適切に取ることで可読性が向上し、文章が強調されるメリットがありますし、あえて背景色をつけて視線を誘導する手法も多用されます。情報量が多い場合には、見出しや箇条書きに分解して、ユーザーが欲しい情報へスムーズに到達できるデザインを目指すとよいでしょう。
まとめ
デザインはアートとは異なり、目的やターゲットを明確にしたうえで、情報を整理しながら課題解決を支援する手段です。
Phase1のコンセプト設計で「誰に」「何を」「どのように」伝えるかを固め、Phase2の制作工程では視線誘導や四大原則を活用しながら、ターゲットにとって最適なレイアウトとビジュアルを組み立てていくのが基本的なフローといえます。
もし自社の強みがしっかりと表現できていないと感じたら、ターゲット像との間にギャップがないか再確認するのが大切です。
成果を最大化するためにも、アート的な感性だけでなく、「誰に何を伝えるか」という戦略的な視点を常に念頭に置きながらデザインに取り組んでみてください。